第1章 :受難シリーズ 理性と感情の狭間で〜リヴァイ編❶〜
重ねた手を口元に持って来ると、リンはその甲へ無意識のままキスをした。
「ッ?!」
『側にいて…』
結局その後もリンは手を離してくれず…仕方なくリヴァイは少女の横に、身体を滑り込ませた。
(寝るわけじゃねぇ…ただ側にいるだけだ。)
そう自分に言い聞かせ、ベッドの上で本を開くが…ページは全く進まない。
横に静かに眠る少女の寝顔を見つめ…髪を撫で感触と香りを堪能し、額や頬に口づけを落としていく。
こんなに穏やかな夜は、初めてかもしれない。
気付けばリヴァイの瞼も落ちていた…
ピチチチ
小鳥の囀りが聞こえる。
温かく優しい香りを鼻に吸い込み…手の中に感じる柔らかさで、意識が覚醒した。
瞳を開くと目の前に少女の横顔があり、リヴァイは勢いよく上半身だけ身体を起こした。
右腕はいつのまにか少女の頭を乗せていて、動かす事が出来ない。
(なっ?!何だ?何が…俺はあのまま寝たのか?)
目を見開き狼狽えたリヴァイは、途中まで覚えている記憶を辿り…片手で顔を覆う。
「ありえねぇ…」
最初は自分の行動に驚いていたリヴァイだったが…思ったより頭がスッキリしている事に気付き、また横に寝転がった。
「悪くねぇか…」
たまにならこんな朝も悪くない…
フッとリヴァイの口元が緩んだ。
『ん〜〜』
(やっと起きたか?)
そう思った瞬間リンは左側に寝返りを打ち、胸元のシャツがはだけ…そのままリヴァイに抱き着いた。
柔らかい胸の感触を感じ、心臓と下半身が疼く。
「勘弁してくれ…」
結局また朝から悶々とする羽目になり、やっぱり一緒に寝てしまった事を後悔するリヴァイだった。
彼の受難はまだまだ続く…
短編1章 fin.