第8章 :記念日はあなたと❸〜リヴァイ誕生日編:2022〜
以前から注文予約していた、リヴァイへのプレゼントを受け取りリンが店を出ると…外はかなり雪が降り積もっていた。
少女は悴む手にハァと息を吹きかけ、ポケットを探るが…手袋を忘れた事に気付く。
(手袋忘れちゃった。手も冷えるし寒いから、お茶飲んで兵舎戻ろうかな)
少女は馴染みのサロンに向かう途中、見知った人物を目撃する。
(あれ?あれって…)
『リヴァイ!!』
少女は雪の中、寒さも忘れて駆け出す。
『キャッ!!』
リヴァイの元に辿り着く手前で、凍り付いた水溜りに足を滑らせ…身体が傾いた。
(あっ、痛…くない?)
ふわりと紅茶の香りがして、誰かに受け止められた。
「馬鹿が!ガキみてぇに、雪の中走るんじゃねぇよ!」
『リヴァイ、ありがとう。』
怒られた事も気にせず、少女は満面の笑みでリヴァイに抱き着く。
「全く…てめぇは。」
リヴァイはいつものように小さく舌打ちしたが、受け止めた少女の身体を放し頭に乗った雪を払い落とす。
「こんな雪の中、何してた?風邪引くだろうが!」
『買い物して外に出たら、いつの間にかこんなに雪降ってて…ビックリしたよ。リヴァイも買い物?』
「あぁ、年末の大掃除で使う道具を見て来た。」
『ふふ…リヴァイは本当に掃除、好きだね。』
「てめぇも、自分の部屋は早めに掃除しろよ。その後、ハンジの汚部屋掃除に付き合え。」
『…それが1番憂鬱だよ。』
「同意する。」
2人顔を見合わせ笑う。
『それより…寒いから、あそこ入って茶飲むぞ。』
リヴァイがカフェを指差し、リンに手を差し出す。
「冷てぇ!てめぇ…手袋どうした?」
『忘れちゃったの。だからリヴァイの手で温めて。』
少女は嬉しそうにリヴァイの手を握り、早足でカフェに入った。
『ハァ…やっぱり店内は温かくて、落ち着くね。雪も綺麗で楽しいけど、最後はやっぱり温かい室内でお茶が良いよ。』
少女は両手を温めるようにカップを持ち、向かいのソファに座るリヴァイに微笑んだ。