第6章 :記念日はあなたと❷〜リヴァイ誕生日編:2021〜
よく晴れた日の午前中…
少女はお洒落をして、兵舎の正門に立っていた。
いつもの白い服に見えたが…レースやリボンをふんだんに使用している、特別な服だ。
「待たせたか?」
声の方へ振り向くと、私服のリヴァイがこちらへ歩いて来る。
〜数日前〜
『リヴァイ、12月25日仕事?』
「いや…エルヴィンに、たまには休めと言われたから休みだ。久しぶりに紅茶屋探索でもしようと思っていた。」
『じゃあ、私とデートしよ!』
「デート?」
『イヤ?』
「…悪くねぇ。」
リヴァイはニヤリと笑った。
リヴァイが兵舎の正門へ行くと…既にリンが待っていた。
「待たせたか?」
『今来たところだよ。』
少女は満面の笑みで答え、リヴァイは少女の髪を優しく撫でた。
ふと少女の服装を見ると…
いつもより可愛らしい格好をしている。
「おまえ、その格好…」
『可愛いでしょ!今日の為に新調したの。』
「ほぉ…つまり【俺のため】か?」
『そうだよ。どうかな?』
少女がくるりと回転すると、腰のリボンとスカートの裾がふわりと舞った。
「あぁ、似合っている。」
普段褒め言葉が中々言えないリヴァイだったが、自分の為に新調した少女の気持ちが嬉しく…今日は素直に答えた。
少女は嬉しそうに微笑み…2人手を繋ぎ、歩き出す。
「それで…今日は何処に行くつもりだ?」
歩き出したはいいが、行き先は少女に全て任せていた為…少女の顔を覗き込み問いかける。
『会員制の紅茶専門店よ。私は既に会員なの。良い機会だから、リヴァイも招待しようと思って。』
「ほぉ…会員制:紅茶専門店か。そんな店もあるんだな。」
『うん!特別な人しか利用出来ないから、カフェの場所も隠されてるんだよ。』
少女は嬉しそうにリヴァイの手を引く。
そして細い路地裏を通ると、大きな庭のある店に辿り着いた。
白く大きな門が開くと…執事のような初老の男が出迎えた。
まるで貴族御用達のようなその佇まいに、リヴァイは目を見開く。
「リン様、お待ちしておりました。」
『今日は宜しくね、リーベル!』
「かしこまりました。個室をご用意しておりますので、こちらへどうぞ。」
少女はリヴァイの手を引き、案内された個室へ入った。