第9章 君のヒーロー
「せいぜい跳ねのいい踏み台になってくれ」
親指を下に下げ、顎をクイッとしながら言う爆豪。
爆豪のせいで、A組はブーイングされまくりだった。
『…すごいね、さすが勝己様様だね』
「…だろ」
『そしてヘドロ事件、勝己だったんだね』
「…知らなかったんか」
『ミッドナイトえっちぃね』
「…なんだお前さっきから」
ブーイングの原因である爆豪は、近くにいた超鈍感マイペースと、ブーイングを全く気にすることなく関係無い話をしていた。
((…あの二人、ほんとやばい))
すると早速競技を始める、とミッドナイトが言った。
第一種目は、障害物競争。
コースを守れば何をしてもいいと言う。
これはまた大変なことになりそうだなぁ、なんて思いながら、楓風はゆっくりと位置に付き、深呼吸をした。
スタートの合図と同時に、楓風は爆風で飛び出した。
そして轟も同時に地面を凍らせ、何人もが固まって動けなくなっていた。
A組は当然のように、全員が交わしている。
するとすぐに始めの障害物が見えた。
かなり大きいロボットが、大量にいる。
(どこからお金涌き出てるんだろう)
とこんなときでさえも純粋な疑問を持つ楓風。
すると八百万も隣で同じような呟きをしていて、嬉しくなった楓風は、何故かやる気が涌き出てきた。
轟は、先頭切ってロボットを凍らせると、さっさと走って行ってしまった。
楓風も、風を使ってその上を通っていく。
(焦凍と同じとこ行こうとしたら、不安定だったから潰されちゃうもんね)
楓風の予想通り、ロボットが倒れ、何人かが潰されていた。
爆豪や常闇、瀬呂も同じように上を行く。
先頭は、A組で固まっていた。
次の障害物は、小さい円の足場がたくさん並び、そこに縄が張られたもの。
下は見えないほど深く、落ちればもう終わりだろう。
楓風は、また爆風を起こして上に飛ぶと、そこから空気を圧縮して道を作り、あえて斜めにして滑り台のようにするすると滑って行った。
轟も氷を使って難なくクリア、爆豪も爆破で飛びながら難なくクリアした。
だが轟と楓風との差があり、爆豪は焦っているようだった。