第8章 すれちがい
*焦凍side*
授業の合間の休憩時間。
ついいつも見てしまう、右前の辺りの席。
楓風と爆豪が、仲良さそうに話しているのが見える。
つい、イライラして顔が強ばっていくのが分かる。
今日は、なぜがいつも以上にイライラしている。
…朝の、体育祭の話を聞いてからだ。
(クソ親父が来るから、なおさら絶対に右しか使わねぇで勝つ。
右で一位になれば、あいつを完全否定出来る…。
…友達ごっこなんてしてる場合じゃねぇ)
自分のためにも、母のためにも。
体育祭に右で勝つしか、やつを否定する方法はない。
今は楓風と爆豪のことなんて考えてないで、勝つことだけ考えよう。
そう思っても、視線は気付くと楓風達を見つめていた。
嫉妬と険悪感と復讐心と憤怒で頭がおかしくなりそうだった。
俺は、クソ親父への復讐のために、
そしてこの怒りを楓風へぶつけてしまって傷付けないように、
しばらく距離を置こう、と決心した。