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【ヒロアカ/轟焦凍】私のヒーロー、君のヒーロー

第8章 すれちがい


昼休み。いつものように焦凍と食べようと、楓風は席に向かった。
(いつもは真っ先に迎えに来てくれてたけど…何かすることでもあったのかな)
『焦凍!!行こ…』
「悪ぃ、今日は誰か別のやつと行ってくれ」
視線も合わせず、冷たく言う焦凍に、楓風は驚いた。
(怒ってる…?何かしちゃったかな…)
『…私なんかしちゃった…??…ごめんね』
「…なんもねぇよ、気にすんな」
今までとは比べ物にならない威圧感に、楓風は何も言えなくなった。
『…そっか、何かあったら遠慮しないで言ってね、私達…友達だもん!!』
と告げて、去ろうとすると
「…友達?本当にそう思ってんのか
…お前は、爆豪といた方が楽しそうだよな
俺に気使ってんならそんなことしなくていい」
低く、心のない声で静かにそう言った。

『…え?
ちょ、っと何言って…』
「今は友達ごっことかしてる場合じゃねぇんだ
…悪ぃ、しばらく距離置こう」

冷たく、突き放すようにそう言うと、焦凍は教室から出ていってしまった。

楓風はその場に立ち尽くして涙を堪えていた。
(意味がわかんないよ…
友達ごっこ?そんなわけないじゃん
何で急にそんな…距離置くなんて…)

「楓風、行くぞ」
見ていたクラスメイト達は、何て声を掛けようか悩んでいると。
爆豪が、そう、短く声をかけて、楓風の腕を引っ張って行った。

そのまま食堂に着いて楓風を席に座らせると、「待ってろ」とだけ言い、爆豪は一人で買いに行ってしまった。

(焦凍、凄くイライラしてたな…。
きっと気にさわることしちゃったんだ
謝らないと…。でも、距離置くって言われたんだから、また話しかけたら余計イライラさせるだけだよね)

「ん」
悶々と考え込んでいると、爆豪のぶっきらぼうな声が聞こえた。
手にはカレーを2つ持っていて、自分の分も買ってきてくれたようだった。

『…ありがとう
でも食欲ないから…っ!?』
すると口に無理矢理入れられてしまったため、仕方なく食べる。
「…食わねぇと元気でねぇだろが
そういうときほど食うんだよ
…お前は細すぎるしな、せいぜい俺の練習相手になるようにもっと食って鍛えとけや」
ガラガラだけど落ち着いた勝己の声。
不器用なりの優しさが伝わって来て、楓風は微笑んだ。
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