第7章 恐怖
「…楓風、大丈夫か」
広間に駆けつけた時に楓風が泣いていたのをしっかり見ていた轟は、敵がいなくなった瞬間に声をかけた。
『…私、まだまだ弱すぎたみたい
相澤先生に、助けられちゃった…。あんなに、ボロボロで…辛い筈なのにっ…!』
再び涙を流す楓風を、焦凍は強く、強く抱き締めた。
「…俺は、楓風が無事で嬉しい。
楓風のことだから、誰かを助けて、自分の防御が間に合わなくなったんだろ
お前は、優しすぎるんだ」
落ち着かせるように、頭を撫でながら優しく言葉をかける。
(…終盤の咄嗟の判断がダメって、焦凍いつも教えてくれてたよね
ちゃんと、治さなくちゃいけない…)
『…ありがとう…。』
楓風は焦凍から離れると、うつむいて鼻をすすった。
焦凍は楓風の涙を指で拭うと、震えている小さくて細い手を取って握り、歩き出した。
* * *
「轟、マジさらっとかっこいいことするよな…
って何でそんな機嫌悪い…あ、そっか爆豪はそういうの出来ないもんなー」
「っるせぇクソ髪!!俺だって出来るわ!!!」
…ただ、今はあいつの方がいいと思ったんだよ
と本当に小さく、悔しそうに呟いた。
「なんか爆豪じゃねぇみてぇ
まぁ元気出せって!」
「黙れ俺はすこぶる元気だ!!」