第6章 関係
いつもと同じ昼休み。
…のはずだった。
二人で食堂に来てそれぞれ列に並んでいると、突然警報が鳴り響いた。
<セキュリティ3が突破されました>
『…え!?なにこれ、セキュリティ3って何……!!!』
瞬く間に出入り口に人が押し寄せて、まるでラッシュ時の満員電車状態だった。
雄英では女子というだけで小柄になってしまう。
楓風は潰れていて息が苦しかった。
(ううぅ、風でぶっ飛ばしてやりたい!!苦しい…
今日は焦凍と同じそば食べておけば…!!
っていうかなんなのこれ、何の警報!?こんな急ぐ必要あるの…!?)
いつも通りカレーにならんだ楓風は、焦凍は列が違うためバラバラになってしまった。
窒息しそうになり、ヴィラン紛いのことを考えてしまう楓風。
すると突然誰かに思いっきり腕を引っ張られた。
『…!?ちょ、千切れる、千切れます!!
何…!!っぷ』
引っ張られた方向によろけると、腕を引っ張っただろう人物に抱き付いている状態になった。
(あ、でも息が出来る…!!助けてくれたのかな、誰…!?)
胸にすっぽりおさまっている楓風は、上を見上げた。
『あの、ありが…え、勝己!?』
そこにはいつもの悪人面があった。
「…お前、ちっせえし細ぇんだよ!!ヒーロー科ならもっと鍛えとけや」
こんなときでも変わらず暴言を吐く勝己に苦笑いしながらも、楓風はお礼をした。
すると人がさらに雪崩れ込んできて、勝己に胸を押し付けてしまうような形になってしまった。
(…うわ、恥ず…!!いくら女子にも性にも私にも興味無さそうな勝己でも、これは…私が死にそうっ…!
しかもなんかお腹の辺りに当たってるような…)
顔に熱が集まってくるのがわかる。
でも好奇心旺盛な楓風は、爆豪がどんな反応をしてるのか気になってしまって、チラッと上を見上げた。
(…ん!?)
そこには、真っ赤な勝己がいた。
横を向いているが、耳まで赤くて分かってしまう。
『…ブフッ!』
思わず吹き出すと、勝己はこちらをむいて盛大にキレた。
「…なんで笑ってンだ楓風てめぇ…!!
この状態で笑うってお前クソビッチじゃねぇか!!!」
(…び、ビッチ…。酷い…)
頬をむにっと鷲掴みにされ、
「…後で覚えとけ」
本日二度目の、背筋がピキッとなる楓風だった。