第3章 リスタート
「ちなみに除籍はウソな。
君の最大限を引き出す合理的虚偽」
「「はぁぁぁ~!?」」
さらっという相澤先生に、クラス一同は「これから大丈夫かな…」と心配になった。
『まぁそうだよね』
「あんなの嘘に決まってるじゃない…
ちょっと考えれば分かりますわ…ねぇ、楓風さん轟さん」
「…あぁ。」
と推薦入学者三人は意気投合した。
(まぁあの先生ならやりかねない気も…しなくもない…。
とりあえず緑谷君除籍ならなくてよかった!!)
と安心する楓風だった。
「楓風ちゃん、すごいのね
驚いたわ」
と蛙吹が話しかけると、楓風目を輝かせて振り向いた。
『ありがとう!!まぁ、個性と相性よかっただけだけどね…』
(話しかけてもらった、可愛い女子に!!)
「わたしは蛙吹梅雨よ、梅雨ちゃんと呼んで」
なぜか興奮する楓風をあまり気にすることなく、自己紹介をする蛙吹。
『おぉ、梅雨ちゃんね!!よろしくねっ!!』
「楓風ちゃん、早速で悪いんだけど…
私思ったことはなんでも言っちゃうの」
『うんうん、いいよ言って!!私そういう人好き!!』
「楓風ちゃんは、轟ちゃんと付き合ってるのかしら?」
ケロ?と大きい目で見つめてくる蛙吹に、楓風は同じく大きくぱっちりとした瞳で見つめ返した。
『…ん?焦凍と、私が…?
…お付き合い!?』
とかなりでかい声を出しながら、顔を赤くした。
「朝、二人が仲良く登校してきてたのを見たの。
その雰囲気が凄く仲良しで、長い付き合いを感じたのよ」
「分かるー!!私も気になった!!」
「なんか何年も付き合ってるカップルみたいな雰囲気だったよね!!」
楓風の反応を見ても容赦ない蛙吹に、
さらには芦戸や葉隠まで会話に参戦する始末。
『え、え…』
(付き合う…!?私が、焦凍と…!?)
赤い頬が、付き合うということを考えただけで耳まで赤く伝染してしまった。
くらくらとし始める楓風を、焦凍が来て支えた。
「俺達は、付き合ってねぇよ」
…まだ、と小さく付け足したのを、誰一人聞き逃さなかった。
「やばいっ、アオハルー!!」
と興奮し始める女子を置いて、焦凍にとどめを刺されてしまった楓風は放心状態になり、ずるずると焦凍に腕を引っ張られて行ってしまった。