one piece of my Dream [ワンピース]
第10章 貴方の声が
あれから、数週間が過ぎた。
生活も以前のように戻り、
キヨの体も正常に回復した。
ただ、違ったのは、
僕の髪が伸びたのと、
『僕』が『私』になったこと。
そして、
「しん?」
赤い夕日の沈むのを縁側で見ていた私をキヨが呼んだ。
「ん?」
「オヤジが……飯だってよ」
振り向いた私を見て、言葉が詰まったキヨの顔が、
少し赤くなったように見えたのは、
夕日のせいなのだろうか……
「わかった、すぐ行くね」
ゆっくりと腰をあげ、キヨの背中を追う。
『…………………』
誰かに呼ばれた気がして振り返っても、
そこには誰もいなかった。