one piece of my Dream [ワンピース]
第10章 貴方の声が
「……ふっ……ぅえっ…………」
高まった感情が涙となって溢れ出す。
ルフィの胸に顔を押し付けて、声がもれないように歯を食いしばる。
「…無理して抑えんな……
…ちゃんと声だして泣け…」
背中を規則正しく叩かれて、もう片方の手で頭を強く引き寄せられる。
「…う……うわぁぁぁぁぁ−−−…」
泣く事が恥ずかしいと思っていた。
ましてや、子供のように声に出して泣くなど、
もっての外だった。
でも、ここに来てからは、泣くことも恥ずかしいと思わなくなった。
感情に素直に生きている、この人達の中で、
感情を隠して生きることの方が難しいとわかったから。
笑う事も増えてきた。
だって、本当に楽しいことばかりだから。
怒ることなんてなかった。
だって怒る理由がないから。
拗ねたことはあったけど、
だってそれは恥ずかしかったから。
本当の自分はまだ掴めないけど、
少しずつ変わってきた気がする。
窮屈だったサラシを外して、
着たこともない服を着て、
いつもボサボサだった髪も、肩まで綺麗に伸びた。
メイクはまだ練習中だけど、
いつかは上手にできる日が来ると思う。
幼い頃から身につけた武術などは、
今も体が覚えている。
そんなものを使う日は来ないような気もするが。
だだ僕は、
まだ『僕』のままでいたいと思った。