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魔人さんと家飲みしたい

第2章 第一印象は大事です


「え、いや何言ってんです…。」

状況を飲み込めないまま口をついて出た言葉は、とても素直な感想だった。
部屋の中で見知らぬ男女、しかも外国人が自分に話しかけているのである。

「歓迎しよう。私は夫であり、国の王となる男だ」
自信満々に、かつ優雅に立ち上がり歩き出す仕草はまさに王にふさわしい。
顔も正直な話、ガッツリ好みだ。今までなぜこういう趣味だと気がつかなかったのか、驚くくらい魅了されてしまいそうだ。
「失礼ですが、近づかないでください。」
ただ受け入れてはならないと、危険察知アンテナがビンビンに警鐘を鳴らす。動いてはいけない。冷静に判断しなければ・・・。

ーピンポーンー

聞き馴染みのないチャイムが室内に響いた。見た目や広さが変わっても、やはりココは自分の部屋なのだ。まだ動くことは怖いが、来訪者がいるだけで少し安堵する。大きな声で返事をした。
「・・・隣のものですが、何か変わったことが起きてお困りではないですか?」
隣のひょう太君より落ち着いている声色だ。いったい誰なのか。とにかく現実へ引き戻してほしい一心で助けを求める。
「え、はい・・・、なぜだか変な状況で、困ってます!」
「・・・はぁ、少し失礼します。」
なんだか呆れたようなため息をついたように思えたが、気にしていられなかった。

(でも、鍵を開けないと・・・)

棗が足を踏み出そうとした瞬間、目の前に人が現れた。

頭から爪先までまるでスローモーションのように。
虚空からすらりと長身の男性が現れたのであった。

「え?嘘でしょ?」

今自分の見ている世界が信じられない。
外国に飛ばされ言葉の通じる外人に”妻”と言われ、挙句目の前に人間がスルスル出てきたのだ。
自分の知識では答えが見当たらない状況に、表情も思考も体もフリーズしてしまう。
そんな棗の姿など目もくれず、長身の男性は床の辺りを触り何かを見つけていじっていた。

ーピッー

電子音と共に部屋の景色がレトロなアパートの一室に変わった。
元の自分の部屋だ。窓から望む外の景色も戻っている。

「よ、よかった・・・元に戻って・・・。」
緊張が解け、足元から力が抜けた。へなへなと座り込んだ棗を男性が振り返って手を差し出した。

「大丈夫ですか?」
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