第15章 15
薄暗い森の中をジメジメした空気
独特な香り
歩きにくい地面
手の平に付いた泥のあと
汗でへばりつくワイシャツ
どこから出てくるのか分からない怪物
全てが初めての空間
「凛ちゃん?」
私の不安を感じ取ったのか出久くんが話しかけてくれる
泥だらけの顔や服に未だに白さのある私の格好が浮いて見えた
「あっ…ごめんね、なんか不安そうな顔をしていたからつい」
じーっと私を見つめるその視線に耐えきれず視線を外し、『気のせいだよ?』と答えると小走りに先頭の爆豪くんと轟くんの背中を追いかける。
黙々と歩き続けるが、木の根に足が引っかかりドサッと大きめな音がして倒れ込んでしまう
「大丈夫ですか?」
色白で細く長い手が私へと差し出される
転んだ事が恥ずかしくて顔を上げその手の主を見るととてもスタイルがよく可愛い子が私の目の前に立っていた
差し出された手を掴み立ち上がる
「ありがとう、えっと…や、八百万さん」
「まぁ!名前を覚えていてくれましたのね!嬉しいですわ」
「…三奈ちゃんが教えてくれて」
「そうでしたか…それはそうと神楽さん怪我は?」
「全然平気!本当にありがとう」
ニコリと笑いお礼を伝え2人で歩き始めると木がバキバキと音を立てて化物が顔を出した
少し前を歩いていた私はまた悲鳴を上げることしか出来なかった