第10章 10
なぜ、発動しないのか…
もう一度手をかざしてもいつものように創造がされない。
震える手が汗ばんでくる。
夢の事もあって焦りが強くなる。
「凛ちゃん?」
優しい声で呼ばれて振り返れば出久くんが後ろから体を包むように大きいタオルをかけてくれた
「い、出久くん…ご、ごめんね、ちょっと個性が調子悪くて、私…ちょっと先生の所に行ってくるから…先に帰って大丈夫だからね…」
手の震えが止まらない事に気がついたのかぎゅっと手を握り
「大丈夫だよ」
と言ってくれた、その声に後押しされ制服を身につけ扉を開け廊下に出る。
コツンと足に何がぶつかる感覚がして下を見るといちごミルクのパックが置いてあった。
それを拾いゴミ箱へ入れ職員室へと走って向かった。
「し、失礼します…相澤先生居ますか?」
そう言うと、相澤先生は私の方を向き立ち上がり鍵を手に握りしめながら近づいてきてくれた
「顔色が悪いな凛?…会議室行くぞ」
「はい」
そう言われ私と相澤先生は会議室へと足を進めた。会議室の鍵を開け中へと促され足を踏み入れる…相澤先生はその手でまた鍵を閉める