第44章 ホークス オリジン
その光景を見て昂ったのか荼毘は凛ちゃんの中に満足したように吐き出しているのだろう。凛ちゃんの目から溢れる涙がさらにこぼれ落ちて、掴まれていた髪が解放されるとベッドへと崩れ落ち蹲り咽び泣いた。
その姿を見下ろして立ち尽くしてしまう。
机にあったベルトポーチから救護セットを手に取って凛ちゃんに近づく、蹲っている体を起こしベットへと座らせて火傷へと応急処置をする。ふわりと剛翼で取った水と薬を渡して飲ませる。
「凛ちゃん、いくら荼毘と楽しかったからってハードプレイはしちゃダメだよ?」
心配する言葉も、優しい言葉も今は悪手だと思っての言葉だった。
きっと、凛ちゃんなら“ごめんね、気をつけるね”と言って荼毘を叱責して方が終わるだろう。どうせ、チェックアウトまであと2時間の所まで来ているのだから…
なのに、凛ちゃんはオレから視線を逸らして荼毘の方を向いて
「荼毘…私の体もっと傷つけていいよ。」
そう言った。荼毘は笑い包帯を付けたばかりの右腕の巻かれていない部分にガブリと噛み付き腕にクッキリと歯形をつけた。
「凛ちゃん、オレ今そのプレイしないでって言ったんだけど、聞こえなかったかな?」
その行動にイラついた声で話しかけてしまう。
凛ちゃんは真面目な顔をしてゆっくり瞬きをして、言葉を続ける。
「…どうして?私、荼毘との行為が好きなの。だから、荼毘が好き。…だからホークス、邪魔しないで」
「ホークス、お前用済みだとよッ」
その行動に、驚き目を見開いてしまう。
立ち上がりゴーグルと上着を持ち、出入り口の扉まで近づいて、凛ちゃんに捨て台詞を投げかける。
「へー…そんなに荼毘との相性良かった?オレとの行為にあんなに溺れてた子の言葉とは思えないな…とは言え君の事は雄英から連れ出してるからそこら辺は分かってるよね?」
そう言うと、凛ちゃんは荼毘に抱きついて笑い。荼毘が凛ちゃんに触れるだけのキスをする。