第44章 ホークス オリジン
「(ああ、柔らかい…良い匂い)」
フスマの開く音がする視線を向ければ女将で少し驚いた顔をしたがヒラヒラと空いている手で合図するとそれを見て無言でまた扉が閉まる
「(見られた…ん。けど気に入った人しか連れてこない店だし、女将はこう言うの喋らないか…けど、後で謝らないとな)」
そんなどこか冷静なことを考えながら視線を凛ちゃんに向ければ
目がシワになるほど閉じて、肩をドンドンと叩いては押し返す。抵抗なんて思えないほど非力だ。
「(ヤリタイ…)」
思考回路がその欲望に埋め尽くされる
引き倒そうとした瞬間に冷たい感覚が意識を引き戻した。
凛ちゃんは苦しそうに肩で息をして泣きながら荷物を持ってその部屋から逃げ出してしまった
「あ、…凛…ちゃ、ッ」
半開きになったフスマに格好悪く名前を呼びかけて
自分がしでかした事に後悔をした
「あの子…勉強したいって、インターンに来てたのに…何してんだ…本当最低だな…キックサイドのこと怒る資格ないや」
荼毘の事を気にしすぎた結果、彼女の気持ちを蔑ろにしてしまった。
かけられた水が畳にポタリと落ちる
女将が慌てて入ってきてタオルとおしぼりを渡される。
「(カッコ悪すぎ…)」
「ホークスさん…ちょっと悪戯が過ぎますよ…」
「ですよねー…お会計これでお願いします…」
「お会計は今度でいいです!早く追いかけなさい!!あの子まだ大人じゃないんだから!何かあったらどうするの!」
その言葉にはっとして、慌てて飛び出した