第39章 39※ホークス
「あの…相澤先生?今日は…」
「…ああ…家庭訪問と」
用事が差し出される
「雄英高校…全寮制…えっ?…え?」
「今回の件を受けて…全学年、全クラスが全寮制となる。神楽、ご両親は了承済みだ。8月中旬には引っ越してもらう…来週だ」
「…そんな…突然…」
その言葉を聞いて思わずホークスの方を見てしまう。
ガシャン!
その音にハッと前を向く相澤先生がカップを乱暴にソーサーに置いて音が鳴ったようだった
「神楽…ホークスはこの事はオレよりも前に知っていた」
「どう言う…事…」
「そう言うネタばらし辞めてもらえます?」
「ホークス…?」
「…神楽」
「相澤…先生?」
2人を交互に見て私は下唇を噛み締めた。ホークスは全寮制の事を知っていてそれを私に黙っていた。相澤先生はそれを教えてくれた。
なんで、ホークスは私にその事を黙っていたの…
「全寮制の事…雄英から連絡が来る前に言えるわけ無いじゃないですか。守秘義務ですよ?イレイザーヘッド…相澤先生にも有りますよね…“言えない事“。凛ちゃんもごめんね?嘘ついていたみたいで…“大人の事情”って言えば分かるよね?」
ホークスが喋る言葉は鎖だ。
存在を消された私はその事情に深く納得をして彼が嘘をついていた事をまた無かったことにした。彼が好きだったから
「そう言う事なら…。」
相澤先生のため息が聞こえた。そして、席を立つ
「話はそれだけだ。神楽…うそには二つの種類がある。過ぎ去ったことについての事実のうそと、これからありうべきことについての当為のうそ(『エミール』岩波文庫,p149)だ。…そんな言葉がある事を覚えておいておけ。ホークス…あなたがうちの生徒を気に入ったのは分かった、だが…その子を傷付けるような事はしないで欲しい…大切な生徒なんでな」
そんな言葉をかけて先生は帰っていった。
先生が扉を閉めた瞬間に隣に立つホークスを見つめた。ホークスは笑い私にキスをした。何にも言わないように口を塞ぐ長い長いキスを。
limeのアイコンの事、全寮制の事…頭を駆け巡った。
言い訳しないと…
けど、誰に…
何を…
だって私はホークスを選んだんじゃないか…