第33章 33
33
私のボディーソープはイチゴの香りだ。
寝ていて眠りが浅くなるとその匂いがまたわたしを夢の世界に誘ってくれる。
今日は、その香りがとても強くて凄くいい気持ちで寝ることができた。
けれど
目を覚めた時に驚きすぎて言葉を失ってしまった。
「おはよう。凛ちゃん」
私の隣で、私のベッドに寝転んで顔を覗き込むように、髪の毛に触れながら笑顔を振りまくホークスが居たからだった。
いつものゴーグルもヒーローツースも着てはいなくて、フード付きのタンクトップに同じ色のズボンを履いている事だけはわかった。
「なんか、変な感じだよね?この朝の行動って一夜を共にした相手との特権でしょ?」
そう言って笑うホークスに胸がまたギューっとなり呼吸が苦しくなった。
昨日は、来なかった事を気にしていたのにいざ目の前に彼が来れば何にも言えずにひたすら胸の痛みと苦しさに耐えるだけだった。
「昨日は来れなくてごめんね?」
そう言われると何にもなかったように思えてしまった。
夢の用に感じて手を伸ばせばちゃんと触れることが出来てその触れた指先がとても熱かった。
「今日は…ヒーローツースじゃないんだね」
「お休み的な感じ」
「そっか」
布団から抜け出して歩くとホークスからイチゴボディーソープの香りがした。
「お、お風呂っ!!」
「シャワー借りたよ…あのボディーソープ甘い香りすぎてオレ向きじゃないよね」
彼から私の香りがして凄く恥ずかしかった。確かに彼が言った一夜を共にした後の行動のようで不思議な感じだった。サルエルのスエットだったんだ似合うなとか後ろから眺めていると、机の上にあるエンデバーの人形をホークスが見つけて、嬉しそうに一つ欲しいと言ってきた。