第26章 26
『凛』
「先輩?」
『…凛が悪いんだ…僕のモノになってくれたら僕はヒーローになっていたのに』
そう言うと、先輩の姿は歪み血だらけになる。
そして、嘴が生え独特な黒色の肉体に包まれる
下がるように私へと手を伸ばし首に手を回される
「ごめんなさいっ!!」
そう言って叫ぶと病院のベッドで眩しいくらいの朝日がカーテンの隙間から差し込んでいた。
ボロボロと涙がこぼれて膝を抱え込む。荼毘の事、死柄木の事、女の子が教えてくれた先輩の事。自分の中で納得できるように心の中へ落とし込むのは無理だった。
コンコンとノック音が聞こえ、はい。と返事をした。きっと、薬の時間なのだろう…
「失礼するよ…」
その声に、思わず扉を見つめてしまう。とびらから入って来たのは医者も看護師でもなく昨日の塚内さんだった。
「あ…」
「神楽さん、話を伺えるかな?」
そう言って塚内さんは、手に旅行カバンとコンビニの袋を、手に持ち心配そうな表情をして扉の前から動く事をしなかった。