第23章 23 ※死柄木
そう思い、躊躇いなく走った。扉まであと一歩…けれど、その一歩が届かなかった。
親指が引きちぎれそうな痛みを感じ、振り返ると窓にある壊れかかったカーテンレールと私の指を固定している結束バンドがリードのように継がれていた。
それを見た死柄木は嬉しそうに扉の前で立ちすくむ私に近づき首に手を回しカチャリと首輪を付けた。その首輪も同じように鎖で繋がれていた。死柄木の出したモノが涙の代わりに太ももを伝い流れ落ちてくる。
「…逃げれるわけない」
「酷い」
「酷い?当たり前だ…」
「優しいと思ったのに」
「自分の個性を恨むんだな」
「貴方もでしょ?」
そう言うと死柄木は私を睨みつけ扉の外へ出ていってしまった。ご丁寧に私が作ったサポート具は回収をされていたけれど…
取り残された部屋の中でベットの上に戻り丸く蹲り目を閉じた。助けが来るいい未来では無く、荼毘が来たらどんな言い訳をしようか…そんな事を考えて。