第2章 後編
「!?」
目をゆっくりと開けると、まず母の鋭い声が聞こえた。
見慣れた天井。自分の部屋だ。
は自分のベッドに寝かされていた。
横を向くと、涙ぐむ母が椅子から立ち上がりを見下ろしていた。
「お母さん……」
「……。良かった、すぐに目を覚まさなかったらどうしようかと……」
はゆっくり起き上がりながら言う。
「私、どのくらい……?」
「悟天君がここに連れてきてくれてから、1時間くらいよ」
「悟天……だけ?」
「そうよ。今も下で待ってくれているわ」
ひとり?
彼は? さっきのは夢……?
ううん……夢なんかじゃない。
確かに、さっき……。
「頭は? もう痛くない?」
「うん。大丈夫。ごめん、心配かけちゃって」
「悟天君、今呼んでくるわね。……あ、お父さんにも電話しなきゃ」
と、母が目を擦りながら、部屋を出て行こうとする。
その後ろ姿に、は言う。
「お母さん、私、記憶戻ったよ」
「!?」
バっと振り返る母。
「全部、思い出しちゃった」
母のその表情には喜びだけではない、様々な感情が浮かんでいた。
「本当に? 、大丈夫なの?」
微かに震える母の声に、は笑顔で頷く。