第1章 01
…
「…ああ…凛か」
「焦凍様…あの、」
「焦凍だろ…凛」
優しく微笑みポンっと私の頭に手を置く焦凍にすこしドキリとした
「あ、ご、ごめんなさい…癖でつい」
「少しずつ慣れてけばいい…で、珍しいな凛からオレのところにくるなんて」
「あっ!!そうでした…冬美様からこれを届けてくれと頼まれまして…」
慌てて袋を渡すと中身を見てハッとした顔をしてまたいつもの表情に戻ってしまう
「気がついてなかった…助かるよ」
「いえ、私も同じ高校なので問題ないです」
「今日は、普通科は何時に終わる?凛は今日家の仕事休みだろ?」
突然の質問に私の方が驚き目を丸くしてしまう
焦凍がこんな風に言ってくるのはとても珍しい
「あ、はい、仕事は今日はおやすみをいただいていて…えっと、学校はいつもと変わらない時間には終わります…」
「だよな…そしたら授業終わったらまた来てもらってもいいか?」
「分かりました」
「じゃあ、ありがとうな…」
焦凍が教室に戻ると教室内がざわめいた
私はその後ろ姿にお辞儀をしてくるりと向きを変え慌ててC組の教室に戻った