第5章 05
昔の事を思い出して呼吸が乱れる。
旦那様を前にするといつもそうだ…
あの日の『お仕置き』は私にとって『トラウマ』だった。
俯いて視線を合わせないように静かにしていた。すると旦那様はするりと横を抜け道場に入っていってしまった。
その姿を見送った私は震える足を抑えながら必死に従業員用の玄関へ向かった。
お気に入りのパンプスを履き裏門から家をでる。
久しぶりのおやすみは予定が全てなくなってしまって寂しい気もしたがそれでも楽しめる気がした。
さっきまでの気持ちも忘れたいその気持ちも強かった
見たかった映画も、食べたかったスイーツも今から回ってもまだ時間に余裕が有りそうだった。