第9章 新規海兵育成記
「パパはどこだ……!!」
「何年も音沙汰がないと思ったら、海軍の捕虜にされてるなんて!!」
「ママも怒るのも分かるぜ!くそ!」
怒り狂ったシャーロット家の十八歳になった三つ子、カタクリ・ダイフク・オーブンが海軍船に乗り込んできた。船の甲板に足をつけるや否や、船からは大量の砲弾が打ち込まれ始める
「あの人の匂いを嗅ぎつけたか……!」
船の中から出てきたセンゴクは、能力をフル活用し拳を握る。それに気付いた三つ子は三手に別れて父の行方を探しに散り始め、センゴクの相手はカタクリがする為に残る
「海軍大将、仏のセンゴク……!!パパが居るのは分かってる、返してもらうぞ!」
「今あの人は自分の意思で我らが軍に身を置いている!易々と手渡す訳にもいかんのだ」
勢いよく拳を振るったセンゴクの攻撃を躱したカタクリは、周りから援護で撃たれる銃を能力で回避しつつセンゴクを相手取る。ビッグマム海賊団の中でも、齢18にしてその実力にセンゴクは今首を取らねばならぬと確信づく
だがしかし、彼がクマラの子であることを知っているセンゴクはどうしたものかと少し手加減をしてしまっていた。例え敵であろうと、愛した人の血の繋がった家族を手に掛けるのはあまり良い気持ちにはなれない
そんな中ダイフクは船内へ潜り込み、オーブンは甲板での手掛かりを得る為走ってなにか役立つ情報を探し回っていた。数々の海兵が邪魔をするが、甲板で愛する父を見つけたオーブンはそんな雑魚どもに気を取られている場合ではない
「よっ!」
「!」
不意に頭上へ振り下ろされた足に気付いたオーブンは、前へ回転しその攻撃を避ける。自分と対等の背丈の男にオーブンは目を細め、臨戦体制に入る
「成程、俺よりちょっと若そうだな」
「新兵が生意気な……!」
能力を使おうとオーブンが手に力を込めた時、不意に嗅いだことのある匂いがオーブンの嗅覚を独占した。そわりと身体が疼くのを止められず、敵が目前にいるにも関わらずその正体を探ろうと辺りを見渡す
途端、オーブンの背後に人影が立った。オーブンは覚えたての見聞色でやっとそれが分かり、振り返ろうとすると───────