第9章 新規海兵育成記
クザンは約一年前に入隊したらしいボルサリーノとサカズキと知り合いになった。そして二人は四ヶ月間クマラの元で鍛え上げられた身であると告げる
「あんなバケモンに鍛え上げられたんですか!?」
「お前さん、あれで化け物って言ってたら強くなれないよォ~?中将クラスより上はああいうのゴロゴロ居るし、海賊にだってあれクラスはいるからねぇ~」
ボルサリーノの言葉にクザンは口を引き攣らせ、マジかよと小さく言葉をこぼした。マジだよ~と追い打ちをかけるボルサリーノに対してクザンはガクンと肩を落とす
二人はどうやらガープとクマラの乗る船に同行したことがあるらしく、その際何度かやばい海賊との接戦を目にしていると耳にしたクザン。一番酷かった相手はロジャー海賊団で、その時の戦闘は泥沼だったそう
と言うのも、敵船の船長であるゴール・D・ロジャーはクマラと親友だったらしく、海軍の手に落ちたことにショックを受けて海軍に対し怒り狂い、それはもう両者に被害が出るほど暴れ回ったらしい。クマラはその際部下を守る為援護に回っていたそうだが、海が荒れていたのもあって何度かクマラの嵐脚が二人の頬を掠めたそう
「……地獄じゃないっすか」
「そうだねぇ~、地獄だったよ~。サカズキなんて慌てた味方の銃で足負傷しちゃったしねぇ~」
「彼奴は絶対許さん。クマラさんがおらんかったらわしの足は一生使いもんにならんかった」
相当恨んでいるのか、顔を思い出したサカズキは手に持っていた割り箸を折る。それを諸共せずボルサリーノは新しく割り箸を抜き取り、サカズキに手渡した
「クマラ教官って手当も出来るんすか」
「そうじゃな、ちと特殊な方法じゃが」
条件に合わないとしばらく寝込むと聞いたクザンはそんなにおっかない治療法をやるのかとより身体を震わせる。あの手合わせとボルサリーノ達からの話で、クマラはより一層クザンの中で化け物と化していった