第9章 新規海兵育成記
あの後帰ってきたガープと共に書類を終わらせたクマラは、教官の一人ゼファーからとある頼み事を受けていた。それは新規で入隊した海兵達の教育である
海軍は主に三パターン入隊方法が存在する。相当の実力者は上層部からの推薦、現実的な入隊方法として海軍学校を卒業すること。そして最後に、定期的に行われる入隊試験に応募し、試験をクリアすることだ
今回クマラが頼まれたのは、試験をクリアして入ってきた新人に基礎を叩き込み、一定数いるであろう基本的マナーを知らない者にそれを教えるという物
試験は基本戦闘面や体力面での試験が多く、知識系統での試験は軽いものしか出てこない。正に実力主義な入隊方法である
「別に構わんが、マナーの方は自信が無いぞ」
「気になる所を少し指摘するだけでいい。たまに居るんだ、早くに両親を亡くして充分に覚えることが出来なかったのが」
主に海賊のせいで、と口にするゼファーの表情は暗かった。つい最近海賊に愛する家族を殺されたばかりのゼファーにとっては少し酷な話しなのだろう。彼の瞳には憎悪や悲しみが渦巻いている
それに気づいたクマラは話を変えようとその試験で入隊してきた兵が何人いるかを聞いた。年に四回、基準を満たした者が入隊するが今回の試験では200人程度の新人が入ってきたらしい。いつもは300はザラとの事で、少ない方とのこと
人を育てるというのは子育て以外経験のないクマラは少し不安にも感じたが、そういう人に教えるというスキルも持ち合わせておくべきかとそれを了承した。海兵たちに顔を出すことになるが、基本顔が隠れているので問題ないとガープからも了承を得る
教官と補佐官の時間の割り振りをゼファーと話し合い、進めていく中それを眺めていたガープは少しだけ不満そうにしていた。四六時中クマラと一緒にいれたのはとても嬉しかったが、教官としてこの場を離れれば当然自分との時間など無い
でもまぁ四ヶ月の間だし、とたかを括ったガープは珍しく駄々をこねず頑張れとクマラに笑いかける。クマラが辛くないのであれば、嫌がってないのであればガープはそれを止める権利はない