第7章 ゴッドバレー事件(※)
ガープがゴッドバレーへ船を向かわせようとしている中、ロジャー海賊団の船長ゴール・D・ロジャーもまた、とある映像を目にしていた。額に浮かぶ青筋が、彼の怒り具合を示している
「レイリー」
「お前の言いたいことはよーく分かってるさ、ロジャー」
自分を呼んだロジャーに対し、自らの剣を研ぎながらそう口にしたレイリーは「俺もアイツには世話になったんだ」と、整備の終わった剣を鞘に納める。冷静な口調、表情とは裏腹に腕や手の甲には力が込めているのか、薄らと青筋が浮かんでいるのが見て取れた
ロジャーは船全体に響き渡る声で行き先の変更を告げる。なんだなんだと騒ぐ船員達は、自分達の船長と副船長が交戦体制に入っていることに驚き航路の変更と武器の準備を急いだ
行き先は、天竜人と奴隷の集まる島。ゴッドバレー
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「急に参戦するなんて言い出して驚いたぜ、ビッグ・マム」
とある船の中、小柄な男がニヤついた笑みで桃色の髪を持つ女性を見上げる。何かに腹が立っているのか、終始彼女は何かを食べていた
一息つくために紅茶を飲み干した女性、シャーロット・リンリンはじろりと睨みつけるように男を見た。そして「おれの宝に手を出しやがったのさ」と顔には怒りが顕になっている
最初こそ、ただ奪うものもなく自分に利益のない襲撃などと反対的な意見だったリンリン。もう一人の反対派と息は合わずとも意見は同じだった。だが、そうも言ってられない状況が突きつけられたのだ
「その宝ってのはなんだ?お前程の女がヤケになる宝」
「ふん、あんたに言うもんじゃないさ。ただ……カタクリ達もヤケになっててね」
事情を耳にし、興奮して甲板で戦闘準備をしている息子達を思い出してリンリンはため息を吐いた。自分の傍にずっと居れば、あんな事にはなりそうにもないのにと
ロックスと呼ばれた男は深くは追求せず、賛成派が増えた事によって襲撃作戦は結構することが決まった。それを後に聞かされる反対派の男は、結局はこうなるのかと頭を抱えたのはここだけの話