第7章 ゴッドバレー事件(※)
再会を果たしたロジャーは、まだやらなければならないことがあるとクマラの手を握り走り出す。クマラは早速銃を使う時が来たかと腰から一丁の銃を取り出した
ロジャーが走った先には、自分より背丈のあるもの達からの猛攻を何とか防いでいる中将ガープの姿があった。クマラの手を離したロジャーは、己の銃を抜き取り何発か発砲する
「遅いぞロジャー!何してたんだお前!」
「俺がここに来た理由忘れてねぇか?!お前だって最初はそれ目当てだっただろ?」
「?」
チラリと振り返ったガープは、クマラの顔を見て一気に嬉しそうな笑顔を見せた。首を傾げるクマラを他所に、本来の目的は達成したと拳を握る
どうしてここにロジャーやガープが居るのか。それはとある映像が、ある日の海軍本部上層部に流れた事から始まった。天竜人の特殊な娯楽が招いた悲劇である
「ガープ!こっち来い!」
「なんだなんだ?仕事はちゃんとしたぞ?」
海軍本部大将センゴクは、血の気が引いたような顔で同期のガープを呼んだ。いつもの仕事の件かと気だるげにセンゴクの近くへきたガープだったが、その表情を見てそうではないと悟る
何があった、そう聞こうとした時センゴクの手に握られている暗証番号のような記号が目に入る。それはなんだと言うガープに、センゴクは震える手で映像でんでん虫にその番号を入れた。その番号を認証したでんでん虫は、スクリーンにその番号の映像を流す
そこに映ったのは、鎖に繋がれ淡い光に照らされるクマラの姿だった。遠くを見つめるその目はどこか仄暗い闇を感じさせる
「どういう事だセンゴク!なんであいつが!」
「わ、わからん……ただ、変な性癖のある天竜人がこれを海軍本部の上層部にも見せろと寄越してきた」
新しい玩具だと言っていた。そう口にするセンゴクの言葉にガープはみるみる顔を赤くさせ、怒りの余りに近くにいた映像でんでん虫の殻を握り潰した。センゴクは未だ顔が青ざめており、目眩がしたのかふらりと身体を揺らして近くの椅子に座り込む
「一つ文句を言ってやっても構わんだろうなこれ」
「やめておけ、天竜人から怒りを買うだけだぞ」
「俺はアイツにまだまともに求婚出来てねぇんだよ!!」
怒りに満ちた顔でガープは正義のマントを脱ぐ。これから動くのは正義の名の元ではなく、個人であると示すように
