第7章 ゴッドバレー事件(※)
時は戻り、ゴッドバレー襲撃後。ロジャーとガープ、クマラは迫るロックス海賊団の猛攻を防ぎつつ攻撃の機会を伺っていた。巨体のガープやロジャーに隠れる形になってしまうクマラは、代わりに攻撃を受け止めつつ使い慣れない銃で相手の邪魔をする
そんな中、どこからともなく「パパ~!」とクマラにとって聞きなれた声が聞こえた。その声の方を見ると、そこには顔半分を隠したカタクリ、クマラと似たようなマントを羽織るオーブン、不思議なランプを脇に抱えるダイフクが近寄ってきている。現在激戦区状態のこの場に、子供三人は少々危険だとクマラが動いた瞬間
「!ロックス!」
「いでっ!」
ロックスが放った攻撃が、子供たちの方に飛んだ。それに気付いたリンリンがすぐ様ロックスを止めるが、時すでに遅くそれは軌道を変えずそのまま向かっていく
三つ子が反動で目を閉じるも、当の三人に痛みは来なかった。血も流れていない。恐る恐るで前を見た三人は目を見開き目の前の人物に涙を浮かべた
「パパ~!」
「……全く、元気過ぎるのも困りものだ」
子供たちに攻撃が当たらぬよう自身の身体で全て受け止めたクマラの身体はズタボロ。子供達はマント越しで父を堪能しており、傷には気づいていなかった。口からも、身体中からも血を流す父の姿を見せまいとクマラは振り返らない
それを見たリンリンは口を1文字につむぎ、ズカズカとクマラ達の元へ歩き始めた。それを止めようとするロックス達だが、クマラの元へは行かせまいとロジャー達は奮闘する
「クマラさん、久しぶりだねぇ元気だったかい?」
「大いに退屈な時間を過ごさせてもらった。ちっとも楽しくなくてな、こういうのとは違うが、ハプニングが欲しかった所だ」
「ならいい!このまま行っちまおう」
久々にクマラの笑顔を見れたリンリンは、クルリとマントでクマラを包み込み子供たちを先に行かせる。口の血はクマラが既に拭っており、その顔を見た時子供たちは初めて安堵する表情を見せた
この後、ロックス海賊団船長は討死。船員は散り散りとなり今回の事件は幕を閉じた。無事天竜人と“奴隷”達を守り抜いたロジャーとガープは、各々やるべきことの為に別れる。次会うときは、また敵同士だと笑い合いつつ