第7章 ゴッドバレー事件(※)
ロジャー海賊団の船を降りた数日後、クマラは厄介な人物達に目をつけられていた。いつもの海賊ならば抵抗し、必要最低限の殺生に控える。だがしかし今回はそうもいかない状況なのだ
「奴隷をただで手に入れたえ~!お得だえ~!」
そう、クマラが出くわしたのはかの天竜人。時が経ち、折角不老不死の存在が御伽噺となってきたこのご時世で、自分の力で天竜人の手から逃れれば忽ち話は世界政府の加盟国に伝わる。そうなれば世界政府とて反逆者は野放しに出来ず、素性を調べ始めて眠る文献が発掘されかねない
自分にとっての不利益を考え、クマラは大人しく縄に縛られた。ロジャー海賊団との3年間で傷の回復の速度を自分にのみだが、イジれるようになっている
不老とバレる前に、不死とバレぬ前に何かしらのアクシデントが欲しいなとクマラは考えながら連行される。1、2百年も生きてきたのだから、それを待つ事位どうということはないのだ
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「……予想していたのと違う」
あれから数時間後。鎖に繋がれ、首に爆弾を着けられたクマラは一人地下牢で拘束されていた。想像していた奴隷生活は、連れ回されて傷付けられて、それはもうこっ酷いものだと思っていただけに拍子抜け
人によって扱いも違うのか?と思いつつ、クマラは何もすることがなく頬杖をつく。淡い光で灯された部屋は、ただ石が鉄で囲われた壁があるのみ
監視でんでん虫がいるくらいの、何の変哲もない部屋でクマラははぁとため息を吐いた。この状態が続くなら、流石に暇過ぎるので何かしら自分からアクシデントを起こすのもありかもと考え始める
「おい奴隷、こちらを見ろ」
暇すぎて寝ようとしていた時、黒服に身を包んだ男が檻の外に現れた。やることができたと起き上がると、男は目を細めて紙を取り出す
「非反抗的な態度は好ましいな。……さて、貴様の情報を上に提出させてもらうぞ。文字は書けるだろうな」
「まぁ……」
高圧的な口調の男に天竜人の下につくやつはこうなるのかと考えつつ署名するクマラ。下の名前を教えてやる気も起きず、クマラは自分で考えた苗字であるサマトを記した