第6章 親友
あれから数日。ロジャーは今日も諦めきれずにクマラへ勧誘を続けていた。クマラも絆されそうになったりもした日があるが、息子達のことを思い出し踏み止まるを続けている
そんな中、ロジャー海賊団はとある軍艦に捕捉され突然奇襲を受けた。若手の海軍中将、モンキー・D・ガープ率いる海軍艦である
久々のライバルに胸踊るロジャーだったが、クマラはただ一人海軍艦を指揮する人物に首を傾げていた。海賊船に乗り込もうとする海兵を軍艦に放り戻しては、やはり見た事がある気がすると頭を悩ませている
何処だったか、そう考えた時クマラがふと前を見ると、前方から勢いよく剣を持った海兵が突進してきているのが見えた。剃の使い手であるクマラならば避けられる太刀筋であったが、急所を叩いたつもりの海兵に少しトラウマを受け付けさせてやるかと、根本から叩きにいく作戦を思いついた為それを受け止める体勢になる
縦に大きく振られた剣は、勢いよくクマラの首と肩の間に直撃した。飛び散る鮮血を見た海兵は、少しその血の量に後退りつつ、海賊を1人葬ったと有頂天になる
折るか。そう思い離れた瞬間回復する怪我のことを思いつつ手を伸ばすと、海兵の真後ろにはガープと戦っているはずのロジャーが居る事に気が付いた。その表情は鬼気迫るもので、海兵の後ろをとったロジャーはそのまま海兵の頭を剣で切り落とす
唖然としたクマラを他所に、海兵の頭を掴むつもりで伸ばされた手はロジャーが血塗れの手で掴んだ。傷は塞がっているが、クマラが真っ赤に染まっていることと血反吐を吐いているのを見て、ロジャーは正常な判断が出来ずにいる
敵兵の血で塗れたまま、ロジャーはクマラを抱き締め「死なないでくれ」と弱々しく言葉を吐いた。軽々しく何か言える雰囲気ではない状況に、どうしたものかと困惑する
取り敢えず誤解を解くべきかとロジャーの肩に手を置いたクマラは前方から近づく巨体に目を見開いた。返り血で赤くなった拳や軍服は、男の強さを物語っている
「ロジャー!途中で逃げるなんて真似するとはなぁ!」
「っ!」
怒りを抑えきれない様な顔のロジャーは、クマラを優しく甲板に寝かせると武器を持ってガープに突っ込んでいく。それを見送ったクマラは自らを頬を掻き、今後の事を考えるのであった