第6章 親友
男について行ったクマラは、強引に船に乗り込み一時共に航海をする手筈を意気揚々と進めた。この船の副船長である男も最初は止めようとしていたが、船長が諦めている上に荷物の殆どが既に運び込まれているのを見て仕方なく許す事に
「にしてもでかい船だ。お前たちは海賊なのか?」
頭上ではためく海賊旗を目にし、クマラは助けた男にそう問いかける。そうだぞ、という男の表情はとても楽しそうだ
「あっ!俺の名前まだだったな!俺名乗ったらお前も名乗れよ?」
「あぁ、いいぞ」
名乗られたら名乗るのは礼儀だと頭に入っているクマラは、相手から“ゴール・D・ロジャー”と聞いて自身の名も名乗った。名前を聞き、なるほどなるほどと頷く姿は少し子供っぽいとクマラは目を細める
そうこうして船は出発準備を整え、新たに船員では無いもののクマラを加えて船は出航した。船に乗るからには船員同様の扱いをと言うロジャーに、それは当然であると頷き返す。自分だけ特別な扱いなど、クマラは求めていない
「……特別扱いは無かったんじゃないか?」
「仕方ねぇだろ空きがないんだから」
夜、就寝するに当たって問題が起きた。それはクマラの寝る場所が無いことである
空きはなく、クマラがどこかの甲板でゴロ寝する事が決まりかけたのだが、ロジャーは「今は船員と同じ」と言ってスペースのある自分の部屋に招いた。クマラからすれば船長と同じ部屋=リンリン格と同じ部屋という事で、仲間から他のもの達から色々言われるかと思いきやそうでもなく
副船長から憐れみの表情で見送られたのを気にしつつ、クマラは寝る場所が外じゃないなら良いかと軽い気持ちでソファに寝転がる。毛布は無いので、自分がいつも羽織っているマントで身体を包み込んだ
「……?」
部屋の蝋燭を消した後、暫くしてギシッ、ギシッと床の軋む音が聞こえ始めた。それは徐々に近付き、自身の寝転がるソファの近くで止まる。部屋の持ち主が催したんだろうと気にせず寝返りを打つが、一向にその後の足音が聞こえないことに疑問を持ったクマラ。気になって起き上がると、起き上がった先には仁王立ちするロジャーがいた