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平等な死などない【ワンピース】

第6章 親友


また旅を始める為に家族と一時的な別れを告げたクマラは、自身の足元に転がる男を見下ろしていた。身体はズタボロで、何があってこんな目に会うんだと訝しげな顔になるクマラ

ずっとこのままもこの島の者に迷惑かと、クマラはいつも通り手首を切り、そこから流れる血を男の口へと流し込んだ。男は飲み込める力はあるようで、ゴクリと飲み込んだ後大きく咳き込み始める

「ゲホッゴホッ!!じ、じぬがどおもっだ……っ!!」
「呆気なく死ぬのかお前」

この程度ではすぐに回復して元通りのクマラにとっては当たり前の反応だったが、こいつ普通の人間かと考え直し「あの傷だもんな」も言い直す。自身の口から垂れる赤い鮮血を拭いながら男は「まぁな」と笑った

気絶しないのを見て、「X型なんだな」と言うクマラに対し男は一瞬目を見開き、笑い始めた。何がおかしいと顔をしかめるクマラに男は「俺はS型だよ!」と笑い続ける

そんな馬鹿なと男の頬を掴み、無理やり開かせた口に突然指を突っ込んだクマラはそのまま口の中を指で検診し始めた。男は突然の事で驚き、そのままクマラを反射的に蹴り飛ばしてしまう

「ゲホッ!お前何すんだよ!!」
「俺の血を飲んどいてS型はあるか!絶対X型だ!」
「なんだその自信!」

同じ血液型の人間しか自身の血が馴染む者はいない。原理は輸血と同じだと思っていただけに、血液型の違う筈の治療相手にクマラは驚きを隠せなかった。それとも、この男が単純に特別な存在なのかと

探究心に駆られたクマラは、男が歩いていく先に着いていく。最初は着いてくるなと嫌がっていた男だが、クマラの目に見つめられ折れたのか「俺の船にこい!」と手首を掴んだ

これが、彼らの運命的な出会いだった
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