第5章 愛しのパパから贈り物
「悪魔の実ぃ?」
「あぁ、三つある」
クマラの前に座るリンリンは、ジーッとその三つの果実を品定めした。見たことも無い、本物かどうかもわからない悪魔の実。クマラを疑うつもりは無いがと腕を組む姿は本当に悩んでいる様子である
もし偽物で、毒が盛られていたら?大事な家族を失いかねない上にクマラに子殺しの重罪を負わせることになる。その選択にリンリンは頭を抱えそうになった。兵力は欲しいが、クマラを大罪人にしたくはないのだ
そんな気持ちがクマラに伝わったのか、クマラは「心配しなくていい」と口にする。コツコツ二年間、己の手で摘んだ悪魔の実。苗床は悪魔の実が摘み終わると同時にどれも枯れ果ててしまったが、それらが悪魔の実であることはクマラが一番理解しているのだ
何せ、口外していないとはいえクマラもその過日から、呪いを受けた身なのだから
クマラの発言を聞き、これ以上疑ってはクマラに恥を晒すことと判断したリンリン。だが、誰に食べさせるべきかまた悩むことになった
「これおいしい?パパ」
「そこまでおいしくない」
「そうか……」
つんつん、と真ん中の悪魔の実をつついたカタクリは興味なさそうにクマラの股の間に座り込んだ。だがハッとし、チラリと自身の母であるリンリンの顔を見る
「……触っちゃった」
「あっ!そうだ、手をつけたものは自分のものなんだ!」
「あ~」
オーブンやダイフクが騒ぐ中、これ俺が食べなきゃと自分の触った悪魔の実を持つカタクリ。リンリンもクマラも、それでいいのかと少し心配そうに顔を覗き込んだ
それを見て何を思ったのか、顔を見合わせたダイフクとオーブンも悪魔の実を手に取る。突然の行動にリンリンもクマラも首を傾げるばかりだが、どうやら悪魔の実を食べるからとカタクリが心配されるのを見て、少しばかり嫉妬したようだった
不味いぞ、海に入れなくなるぞと説得するクマラだが、食べる食べると言うことを聞かない三つ子にクマラは折れた。リンリンも食べるなら食べちまいなと言った感じで、三人は顔を見合わせ、一口悪魔の実を齧る
「「「まっ……まっず~!!!!!!」」」