第5章 愛しのパパから贈り物
カタクリの口が裂けてから二年。行ったり来たりを繰り返すクマラの気まぐれな生活にも慣れてきた子供達は、ある日数ヶ月音沙汰の無かった父の上陸を迎えに来ていた
「おっきくなったなって撫でてもらうんだ」
「俺なんかちゃんと戦えるようになったしな!」
「お前だけじゃないだろダイフク」
「ペロリン♪兄弟仲良くな三人とも」
父が帰ってくると聞きつけ、今か今かと楽しみに待つ四人。上からペロスペロー、カタクリ、ダイフク、オーブンは遠目に見える船に心を躍らせた
喋るのも忘れ、その船が重りを下ろすや否や子供とは思えぬスピードで突進。降りた瞬間の父クマラへ飛び込んでいく
「おおっ、元気だなお前たち」
「パパ……!」
「パパ~!」
実子である3つ子達は三箇所を独占し、ペロスペローはその様子を見てニッコリ微笑む。長男ということもあってか余裕はある様だが、少しばかりの落ち込みが目に現れる
無論クマラはそれを見逃さず、ペロスペローに「ただいま」と言って優しく頭を撫でた。嬉しかったのか、当のペロスペローは「おかえり!」と元気に返してとてとっと近付く
まだペロスペローは長男とは言え七歳。親が必要なお年頃だ。リンリンは家族を大事にしてはいるし、母としての表情をよく見せるがまだまだ母としては至らぬ部分も、その性格上多くある
そこで父として認められている自分がもっと“父親らしいこと”をしてやらねばと、クマラはこれまでの事で学んだ。そして、彼らの母であるリンリンも、クマラにとっては一人の我が子。お互いの血が流れる子が居たとしても、幼い子と大人として接した時間は嘘では無いのだ
「パパ」
「どうした、カタクリ」
クマラに肩車されたカタクリは、ギュッとクマラの頭に抱きつく。すりすりと頬ずりする姿は、まるでその姿や温もりを確かめているようにも見える
俺はここにいるぞ、とまだ空いている手で撫でられたカタクリは嬉しそうで、俺も俺もとクマラに抱きつく子供たちに彼は微笑んだ。二年ぶりの彼の姿に、子供達もまた笑顔へと変わっていく