第5章 愛しのパパから贈り物
クマラから血を貰ったカタクリは、大人と違いまだ三歳になりかけというのもあってか数日は寝込んだ。だがその間手術も終え、今はスヤスヤと寝息を立てて安らかに眠っている。子供たちの不安そうな顔とは対照的に、クマラとリンリンは一安心といった感じでお茶を飲む
「にしても、久々に来たと思えば我が子の口が裂けるとはな」
「マンママンマァ!オレも驚いたさ!好きな物頬張って口を裂くのはオレの子らしいと思わないかい?」
「食べることが好きなお前に似たんだろう」
気にする様子もなく、ただ会話を楽しむ二人にペロスペローは「ある意味流石だな」と頬をかいた。カタクリの3つ子の弟二人は、心配そうではある様だが容態は落ち着いたと聞いたあたりからクマラの膝の上でクマラに甘えっぱなし。クマラの香りや温もりが好ましいのか、離れる気配は無いのが見て取れる
膝の上にいる子供たちを撫でつつ、クマラはどこからか聞こえてくる走る足音に耳を傾けた。リンリンもそれに気づいたのかそちらを見て笑っている
「カタクリ!起きたみたいだねぇ」
「ママ!パパ!」
見慣れた母の顔の他に、記憶の中では初めて見る父の顔を見てカタクリはギュッと口をつむぐ。クマラは椅子に深く腰掛けると、股の間に空いたスペースへカタクリを誘った
「ペロスペロー、お前はこっちだ。コンポートもおいで」
「!」
クマラの膝に座る場所はないが、クマラの真横にペロスペローやコンポートが座れる椅子を近くから移動させたクマラ。二人は嬉しそうにそちらに近づき、椅子に座ってお茶を楽しむ
その様子を眺め、クマラはふっと笑うとカタクリの頬に手をやった。縫い目が分かりやすくついているが、それをなぞる手はとても優しく、慎重で、傷付けやしないかと心配しているように見える
「パパ、いたくない」
「……そうか」
悟ったカタクリはそう笑顔で言うと、クマラもそれを聞き本当に安堵したようにカタクリの髪に顔を埋めた。俺も俺もとダイフクやオーブンがクマラの首筋に抱き着き、暫く彼が身動き取れなくなるのはここだけの話