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平等な死などない【ワンピース】

第5章 愛しのパパから贈り物


「……全く拠点を変えてないんだな、リンリン達は」

初めて家族へ贈り物をした日から一年。11月25日に、クマラはあのリンリン達のいるナワバリへとやってきていた。3月14日のペロスペロー、10月コンポートの誕生日に間に合うことが出来なかった為、誕生日プレゼントとは他に詫びの品も持ってきている

変わった様子のない道を進む中、進むにつれてどこか騒がしい雰囲気であるのを耳にする。どうしたんだろうと好奇心の湧いたクマラは駆け足で騒がしい声のする方へと足を進めた

「何があった?」
「カタクリ様の口が避けてしまったらしくって……」
「カタクリの?」

自身の息子の事件を聞き付け、クマラは人並みをかき分けてカタクリの元に向かう。ペロスペローやダイフク、オーブンが手当する人を探したり労わったりと忙しい中、クマラはコツンコツンとその四人の前にたった

「!パパ……!!!!お願いだパパ!カタクリの口が……っ!」
「あぁ、聞いた。見せてみろ」
「あぅ……っ」

痛みで大粒の涙を流すカタクリに、もう大丈夫だと頭を撫でるクマラ。不思議と不安な気持ちは治まるものの、痛みは引き続き続行しているため涙は止まらない

それを見て目を細めたクマラは、いつものように手首に傷をつけた。ペロスペローや目の前でその様子を見たカタクリは顔を青ざめさせる

「飲めるか」
「のっ……!?」
「おら飲めよ」
「んぐぐー!」

強引に口の中へ傷のついた方の手首を含ませ、ちゃんと飲めよと無表情で告げるクマラ。その様子を見てカタクリは若干のトラウマを感じつつちゃんと口に入った分は飲み込んだ

途端、きゅぅっと背中から倒れ込んだカタクリ。ペロスペローやダイフク達が大慌てで走り回るが、それを見たクマラはカタクリを抱えて拠点の方に身体を向ける

「裂けた理由は知らないが、この様子だと治ったとしてもまた裂けるだろうな。ちゃんと縫ってもらうといい」

冷静な表情で淡々と告げるクマラは、そのままカタクリを連れて拠点の方へと歩き始めた。ペロスペロー達は不安そうにその背中について行く

自分達の理解が及ばない事が目の前で起きている不安は拭えない。それでも、どうしてその背中が頼もしいのだろう。そう子供達は思いつつその背を追うのであった
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