第5章 愛しのパパから贈り物
自分に宛てがわれたスイーツ入りの包みに、3つ子達は美味しそうだと涎を垂らしていた。リンリンの包みが異様に大きかったのは、彼女が食べる分であるからより多く、大きく作られていたからであろう
ペロスペローには手作りと思しき金太郎飴と、透き通った綺麗な飴。コンポートには美味しそうなマシュマロとビスケット。カタクリ宛にはドーナツで、オーブンにはどら焼き、ダイフクには豆大福。リンリンにはそれら全てを大きくした物が収められていた
嬉しそうに包みに手を伸ばすリンリンだが、ふと自分の包みに手紙が入っていることに気づく。それを先ず見てからお菓子を食べようと、部下にお茶の準備をさせて手紙を開封した
〈リンリンへ。
この手紙が届いたということは、俺の作ったお菓子も届いている事だろう。美味しく食べれるよう包みに色々工夫をしておいたから、きっと大丈夫な筈だ。
お前はよく食べる子だから、沢山入れておいたぞ。色んなものを食べてきたお前の舌を喜ばせられるかは分からないが、少しでも満たされた気持ちになれればと思う
いつか必ずそちらへ。サマト クマラより〉
手紙を読み、相変わらずクマラさんはとポロリと流れた涙を人差し指で拭うリンリン。愛情を覚えたクマラは、昔よりも一段と丸くなって角が無くなってきた様だ
手紙を読み終わり、読み終わったあとの余韻に浸っているうちに紅茶の準備が整った。リンリンは席につき、包みのお菓子を皿に移す
「ん~!腕を上げていってるねぇあの人は!」
「飴作れるようになるって今何してるんだろ……」
「美味しい~!」
各々包まれていたお菓子を頬張る中、3つ子のカタクリはジーッとその手にある、ドーナツの乗った皿を眺めていた。オーブンやダイフクはうまいうまいと食べているのに対し、カタクリはどこかキラキラした瞳でドーナツを眺めている
「カタクリ、どうした?」
「……きれいだから、たべれない」
ミルクチョコがかけられ、透き通った薄い飴がデコレーションされている物。抹茶色で、可愛らしくチョコペンで猫のデコレーションがされている物。その他にも様々なデコレーションがされているドーナツに、カタクリは目を奪われていたのだ