第4章 実子誕生
クマラがリンリンに血液を差し出してから二年。子供の事が少しばかり気になったクマラは、ナワバリの近くを通ったのを理由にその島へまた足を踏み入れていた。時が経つにつれリンリンも有名になっていき、周りにも賞金首が増えていっている
心のどこかでリンリンや子供達に会える事を楽しみにしているクマラは、足取り軽く以前リンリンと会った場所に足を進めた。徒歩から走りに変わり、待ちきれなくなって剃を使い始める
「リンリン」
視界に入った桃色髪の女性に声をかけると、その女性・リンリンは嬉しそうに後ろを振り返った。その手にはまだ一歳ばかりになる子供が三人おり、リンリン本人大切そうに抱えている
「クマラさん~!二年ぶりだねぇ~!」
「あぁ、久しぶりだ」
性格の変わりようが見受けられず、相変わらず元気なものだとリンリンに微笑むクマラ。その様子を見ていたとある少年は、小さな影から顔を覗かせた
「あぁ、ペロスペロー!あんたもこっちに来な、コンポートもだよ!」
「うっ、うん!」
大急ぎで駆け寄ってきた舌の長い少年とリンリンに似た少女に、あの頃は1歳と0歳だったか、とクマラは感慨深く二人の頭を撫でる。初めての立ち位置からの愛情を受け、二人はこそばゆいと頬がゆるんだ
そんな姿を見てリンリンは、二人に「あんた達のパパでもあるんだよ」と教える。という事はつまり、とクマラの目線はリンリンの抱える三つ子に行った
「俺の子か、その子達は」
「そう!ちゃんと成功したんだ」
ねぇ?と三ツ子に優しく微笑むリンリンに対し、お母さんの顔だなぁとしみじみするクマラ。子供が増えて母である自覚というものが増していっているのではと言う考えに至る
そうこうしていると、初めてのパパという者に困惑したペロスペローがギュッとクマラの羽織るマントの端を握った。それに気付いたクマラはそっとしゃがみ込み、ペロスペローの様子を伺う
「どうした、ペロスペロー」
「……パパ?」
「そうだな、血は繋がらないがお前に俺の血を継ぐ弟達が出来たからな」
パパになる筈だ、と言うクマラにペロスペローは「……パパ」とニッコリ微笑む。ママが居て、パパが居る事にどこか安心しているような姿に複雑だもんなシャーロット家、とクマラは眉を顰めるのであった