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平等な死などない【ワンピース】

第4章 実子誕生


「あう~」
「あ~」
「う~」

実の父のことがわかるのか、3つ子達は嬉しそうにクマラの腕の中でめいいっぱい甘える姿勢を見せた。一人は擦り寄り、一人は指を甘噛みし、一人は離すまいとギュッと抱きついている。そんな姿に胸打たれたクマラは、世間で言う“親バカ”へと変化しつつあった

「パパ~」
「あーしょぼ~」
「あぁ、何をして遊ぶ?」

初めて出来たちゃんとした父に、長男ペロスペローや長女のコンポートもドキドキし甘えたがる。血は繋がらずとも子は可愛いと和むクマラに、過去の殺伐とした物は感じられなかった

かつてのクマラの面影は皆無。世界政府の上層部たるもの達が今のクマラを見たならば目を丸くし、あいつは本物かと疑う程には、子に見せる表情は大きく違った。……そのもの達が、今も生きていればの話だが

クマラは今や名前でしか伝えられぬ伝説である。血での治癒も、不老不死も、存在ですら誠にあったかも疑われる伝説。何十年とエルバフで過ごし、その存在を公に出してこなかったという事もあるが、世界政府がそれ程までの危険人物であり、こちらに有利となる情報を世界に公表した後の事を恐れ黙秘してきたからもあるだろう

今では世界政府の中でも文献に残るのみで、他には一切情報はない。不老不死の化け物と指をさされてきたクマラに、感情の欠如したこの男に、初めて家族の愛おしさを教えた3つ子は彼にとってとても愛らしい存在だ

ふと、この子達が大人になったらと考えを巡らせるクマラ。突拍子も無い発想だったが、気の向くがままに旅をし、自らの死に場所を探すクマラにとってはいつ拝めるかも分からないもの。気になる事はいつまでも気にするクマラは一人一人、頬を触りながらこんな風になるのだろうかと考え込む

その姿を見たリンリンは、鼓動を速める心臓を胸の上から抑えた。うっとりと、素晴らしいケーキを見つめるような表情のリンリンにも、春がやって来ている
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