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平等な死などない【ワンピース】

第4章 実子誕生


リンリンとクマラが再会して二ヶ月。子は無事生まれ、男も女も産んだから満足しただろうと思っていたクマラに驚きの発言がリンリンからされる

「クマラさん、あんたの血液か精子をくれないかい?」
「……は?」

まだ一歳のペロスペローと産まれたてのコンポートの面倒を見ていたクマラに対し、リンリンは上記の言葉を放った。突然のそんな発言に、クマラも開いた口が塞がらない

流石に十分じゃないのかと口にするクマラだが、全種族共存できる云々と喋りだしたリンリンにあの女の影響かと懐かしい顔を思い出した。最後まで聖母と言われていた、リンリンの恩人と呼べるあの者である

思考はそちら寄りな所もあるのかと思いつつ、自身が特殊な呪いを受けた人間である事を話したクマラ。無論それは彼女が幼い頃にも話した事だ。だが、リンリンはそれでも構わないのだと引く気配はない

彼女にとって、今彼に言った言葉は口実でしかなかった。確かに、平等な家族を作りたいと思っているのは事実だ。だけど、それを作りたいと思った発端は巨人族の中でも勇ましく生き抜き、認められるほどの力量や義理人情のあるクマラを見て約一年育ったから。大好きな彼との証が、欲しいから

悩みに悩んだ挙句、クマラは自身の血液を差し出すことにした。また何時会えなくなるかも分からない、その間クマラを少しでも思い出す物が欲しいと言われ折れたのである

「マンママンマァ~♪オレとクマラさんとの子だ、きっと逞しく育つだろうなぁ~♪」
「そうなるといいな」

腕に付着する血液を拭いながら言葉を返したクマラは、ジーッとこちらを見るペロスペローの視線に気がついた。大きな舌が特徴的で、口の中に収まりきらずはみ出している

「また次会うときは何時になるだろうな」
「あ~うぅ……」

オウム返しのような言葉にクマラはフッ、と微笑み、元気に育つことを祈るとリンリンに告げた。それを聞いたリンリンはとても嬉しそうで、ニッコリ微笑む姿は恋する乙女のようであったと、近くでその様子を見ていたシュトロイゼンは思う
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