第3章 若き四人の海兵
「此奴か?」
「はい……」
センゴクの案内で医務室に辿り着いたクマラは、ガープがソワソワとベッドに横になっている男の周りで歩き回っているのを確認する。ポイ、と近くの椅子にセンゴクを置いたクマラは邪魔だと言わんばかりにガープの身体を押しのけた
「お前何しに来たんだ?」
「治しに来てやったんだよ」
「お前傷治せんのか!?すげ〜!」
まだその様子を見てもいないのに信じたガープに、クマラは「人を疑う事くらい覚えた方がいいぞ」と言って手首を露出させる為袖を捲る。何するんだどうするんだと興味津々なガープは、クマラの後ろからジッと様子を伺い始めた
指銃で傷付けた手首からは大量の血が溢れ、それを見ていたガープは「お前何やってんだよ!」と応急処置キットを取りに向かう。それを他所にクマラは眠っている男、ゼファーの口へと手首から溢れる血を垂らした
「うっ、ゲホッゴホッ……っ」
血を飲み込んだ刹那、ゼファーは息苦しそうに咳き込み口からクマラの垂らした血を少量吐き出す。既に塞がっている手首の傷を摩ったクマラはその様子を見て目を細めた
「どうやらこいつはF型では無い様だな。拒絶反応が出てるが時期に収まる」
「お前ゼファーに何したんだ!?」
「言ったろ、治してやるんだよ」
輸血したら血液型違うと拒絶反応出るだろ、と言うとガープは「そんなもんか」とならいいやと言う感じでクマラの手首をとった。軽い応急処置の術は身につけているからか、手早く応急処置キットの中身を取り出すガープにクマラは制止の声をかける
「どうせすぐに治る傷だ。それに、また赤くなる。手当は要らん」
「でも血塗れじゃねぇかお前」
「お前本当に俺の事わからんのか」
知らない方が逆にいいのだが、と口にしたクマラは次は、とセンゴクの方に向き直る。ビクリと肩を震わせたセンゴクだが、血液型を聞いて渋々クマラの血を口にした
クマラの鍛えられた腕に伝う赤い液体を舐めたセンゴクは、バクバクと鼓動が激しくなっていくのを感じる。妙に顔に熱が篭って、身体中もじっとりと汗ばんできた
クマラにそれを伝えるも、身体を治す副作用だと言って特に気にする様子もない。センゴクはそんな物なのかと諦める姿勢を見せるのであった