• テキストサイズ

平等な死などない【ワンピース】

第2章 暴食の末路


エルバフの村の復興を行うべく日々巨人に混じって建築をしていたクマラは、ハイルディンから顔を顰めるような話を聞きつける

それは、シャーロット・リンリンがシスターカルメル、及び孤児院にいた子供達を……。その様子を見ていたという者から聞いた話ではとても“幸せ”そうだったとの事だ

「今リンリンは?」
「それが、もうその場に居なくなったらしくって……。近くには海軍の姿もあったそうだけど今はないって言ってた」
「……そうか」

胸騒ぎがするのを感じたクマラは、エルバフの復興を手伝った後にその場を後にすることを決めた。シャーロット・リンリンの様子を見る為、外の知識を蓄え次に活かす為である

無論ハイルディンや他のエルバフのもの達はそれを止めた。クマラの現在地を知れば、世界政府はまたクマラに刺客を送り実験体にするだろう。以前狙われていた事を知らぬ彼らであれど、何かしら目をつけられる事は目に見えるのだ

「俺は大丈夫だ。幾度となくそいつ等を爪弾きにしてきた。見聞を広め、また力をつければここに戻ってこよう。それでいいか?」

無表情で、それでいて優しく諭すように話すクマラにエルバフの民は何も言えず口をとざす。そんな中、一人の少年が勢いよくクマラの方へと突進するように走り出した

刹那、クマラの身体は自身より大きな身体にキツく締め上げられる。力加減を知らない子供のように抱きつくその腕はクマラの骨を幾つか折った

「ば、か……っ!」
「いで!」

急速に身体が癒えたクマラは、無意識とはいえ骨を折ってきた子供にゲンコツを振り下ろす。クマラを強く抱き締めた少年ハイルディンは頭を抱えて蹲った

「ひ、酷いぃ……」
「酷くなどないわ馬鹿もん。こっちは痛い思いをしたんだぞ」

不死身とて痛覚はある、と言うとごめんなさいと抱きついた少年ハイルディンは口にする。その顔はとても落ち込んだ様子で、ポンとクマラが頭に優しく手を置くと、双眸から大粒の雫をこぼし始めた

「ずっといてくれよォ……」
「……全く、子供は泣きやすいな」

ギュッとクマラの服の裾を握るハイルディンに、クマラは「まだ行かないぞ」と告げ頭を撫でる。それでも何時か去る事を理解しているハイルディンは、今だけは離すまいと力を込めるのであった
/ 139ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp