第1章 出会いと別れ
ー綺麗だな
じめじめとした空気、うざったい雨の中で、
彼を見た時の第一印象がそれだった。
美少年、とはこのことを言うんだろうなって思った。
「…天使みたい」
私と同じくらいの年だろうか。
学ラン姿の彼を見て思った。
確かあの制服はすぐ近くの学校だった気がする。
するとその男の子はさも当然と言ったように病院の中へと入っていく。
「誰か入院してるのかな……。ん?」
自動ドアの近くに、何かが落ちている。
あの人が落としたのかな、と思い、それに近寄る。
「本だ…。あの人の、だよね?」
届けなければ、と思い、急いであの人が歩いて行った方向へ小走りで向かった。