第3章 漢ローの冒険記 よみがえる走馬灯
あがった息を整えながらももを抱き締める。
ももは最初の方の複雑な表情ではなく、与えれた快感の余韻に浸っているようだった。
(…やっちまった)
途中で止めようとも思ったが、完全に頭に血が上っていた。
それにあんなに乱れたももを前に、止められる男が居るだろうか。
『ロー、私とシて気持ちよかった?』
『…ああ』
正直、人生の中でナンバーワンと言っても過言ではない程よかった。
『それなら良かった』
そう言うとももはニコリと笑い、俺の背中を優しく撫でた。
これほどまでに自分を興奮させる女に、今まで出会った事がなかった。
今まで性欲処理に付き合わせてた女もそこそこのレベルではあるかま、ももは段違いだ。
『じゃあ、これからよろしくね?』
『これから?』
『セフレの一人としてでしょ?大丈夫…私、束縛とかはしないタイプだから…』
『お、おいももッ!』
そう言ってももは力尽きたように眠り始めた。
(セフレの一人だと?冗談じゃねェ…!)
『オイ起きろ!俺はお前をセフレなんかにする気はねェぞ!』
『えぇー…』
(えぇーって、コイツはッ…)
なんだ?
俺のセフレになりたかったのか?
『カラダの相性…良かったと思ったケド…』
ああ、お世辞抜きにしても最高だった。
って、違ェ!
恐れていた最悪の事態が起きた。
ももの中で、俺はセフレの一人となってしまった。
セフレが居て彼氏が居ないという事は、俺の他にもももが抱かれているという事だ。
んなこと俺か許すとでも思ってるのか。
気持ち良さそうに眠るももをこのまま寝かせてやりたい気持ちもあったが、もものその勘違いを今すぐに正したかった。
セフレという関係ではなく、ももを俺だけのものにしたい。
そう自分の気持ちを伝えようとももの体を揺すると、まだ眠りは浅いようだった。
『オイまだ寝るなッ!お前に伝えたい事があるッ!』
『もう眠いんだけど…』
さっきまでの可愛かったももは何処行ったんだ。
『いいかよく聞け?俺はお前の事が…』
俺の声はももに届かず、パタッと糸が切れたように動かなくなり、寝息を立て始めた。
(マジかよ…)