第2章 新たなる冒険 初めて生まれた感情
ローさんからも連絡先を聞かれる素振りはなかった。
幹事であるナミに聞けば彼の連絡先が分かるかもしない。
だけど、それをローさんに嫌がられてしまうのは嫌だった。
好意のない相手から連絡をもらっても、嬉しくとも何ともない事を自分もよく知っている。
もし奇跡が起こって、ローさんが自分に会いたいと思ってくれているなら、何かしらの形で連絡が取れるはずだ。
ローさんからもらった…借りたネックレスを思わず握りしめる。
「なんでハートなんだろ…」
そんな理由すら、今は聞く事ができない。
それにこれを返す事も。
部屋に帰宅すると、急に世界から取り残されたような感覚になった。
(ローさん…)
ソファに寝そべって目をつぶったら、また睡魔が襲ってきた。
また会いたい、ローさんに。
今度は体だけの関係じゃなくて、お友達から始めたいと言おう。
でも、始めたその先は?
彼女?
「うーん…」
あんなに酔っ払って、しまいには自分から行為に誘ってしまう女を、果たしてローさんが好きになってくれるだろうか?
「ないな…」
でも、セフレにはなりたくなかった。
それはローさんが、他の女性も抱くという事だから。
(あ、なんか言葉にしたら落ち込んできた…)
とにかく今は心を落ち着けようと、瞳を閉じる目に力を込めたのだった。