第1章 金曜日の夜 合コンと出会いと健全Day
自慢ではないが、私は男に困った事が一度もない。
大抵の事は、頼めばなんでもやってくれる。
学生の頃から成績も良く、レベルの高い超一流企業に就職した。
芸能事務所やモデルのスカウトもよくされるので、見た目のレベルも低くはないだろう。
まさに人生の勝ち組。
ここまで聞けば。
だけど私は、恋をした事が一度もない。
自分が自分でなくなるような感覚になれる程の恋愛を、まだ一度もした事がないのだ。
だが、冒頭で言ったように、男に困った事の無い私には、セフレという関係を持った男がわんさか居る。
体の相性が良く長い期間付き合っている者から、金払いの良いお金持ち、自分と同じようにセフレのたくさん居るイケメンまで様々。
神は二物を与えず。
(…ん?その前に二物以上持ってないか…?)
そんな事を考えながらラインを立ちあげると、未読ラインが何十件も溜まっていた。
今日は金曜日。
仕事終わりに来る連絡といえば、ほとんどが飲みの誘いだろう。
だけど私の場合はほぼセフレ達から。
「うわ、またコイツか…」
思わず口から言葉が零れてしまう。
顔をひくつかせながら内容を確認すると、予想通りの文章が目に入ってきた。
”今日仕事が終わったら一緒に飲まない?
その後、この前一緒に行ったホテルにも一緒に行きたいな”
(叶うと良いな、その願い…)
そんな事を思いながら、返信はしなかった。
一度体を繋げただけで女性は男性を束縛すると言うが、それは女性だけに限った事ではない。
もう会う気が起こらない、いわゆるハズレ枠。
そんな男に限って四六時中連絡を送りつけてくる。
そして毎週金曜日には、ほぼ120%の確率でホテルに誘ってくる。
その誘いに乗ることもあるが、今日はそんな気分ではなかった。
(今日は性欲よりお酒欲…)
セフレ達からのラインを全部既読無視しようとしていたら、学生時代の友人から通話が掛かってきた。
『もしもしもも?』
「ナミ!久しぶり!」
ナミは学生時代からの友人で、私の数少ない気の知れた女友達の一人だ。
時折連絡を取り合う事はあったが、通話などで喋ったのは半年ぶりに近かった。