第2章 新たなる冒険 初めて生まれた感情
そう…
その冒険は現在も続いていた。
「ん…」
とても良い夢を見た。
高級エステでマッサージされる夢。
体のどこもかしこも気持ち良くて、この時間が一生続けば良いのにと思った。
しかし目を開くと、先程のエステは夢だという事に気付いた。
「ん?」
夢だと言う事は認識したが、まだ目の前が真っ暗だ。
だんだん意識がハッキリしてくると、体が全く動かない事に気付いた。
「いッたっ…!?」
少し体を動かしただけで自分の腰に強烈な痛みが走った。
この痛みには身覚えがある。
(まさか、まさかまさかまさか…)
どうにか首を動かし上を見上げると、自分の視界がローさんのドアップでいっぱいになった。
(ひ、ヒエェエエェェ…!?)
まだ覚醒しきっていない頭で、昨日の事を思い出そうとしてみた。
仕事が終わりナミに誘われ合コンへ行き、一人でBarで飲み直していたらローさんに出会った。
そしてそのままローさんと飲み直して二軒目へ…
(それからどうした…!?)
思い出せ、思い出せ私…!
「…ククッ」
「ん?」
今、笑われたような。
起きたのかと思いローさんの顔を確認したが、その目は閉じられていた。
そして改めて気付いたが、私もローさんも、裸のままで何も着ていない。
とりあえず服を探そうと、起こさないようそっと抜け出そうとすると、あともう少しという所で、後ろから腕を掴まれ引き寄せられた。
「離れるな」
ローさんがそう私を見下ろす。
昨日Barで出会った時にも思ったのだが、やはり相当体を鍛えているようだ。
スーツの上からは分からないほど、美しく整った筋肉がついている。
「なんだ?俺の裸がそんなに好きか?」
「ち、違いますよ!」
ローさんに見下ろされていて、両腕を押さえつけられているため、胸の膨らみがローさんの目の前におしげもなく披露されている。
ローさんの吐息が肌に触れそうだ。
「は、恥ずかしいです…」
「…朝っぱらから煽るな」
「あ、煽ってなんか…!」
その状況に、あまりの恥ずかしさで涙が出そうになったが、私には確認しなければいけない事がある。