第1章 色違い 【ジャミル・バイパー】
「………もう、痛いですねぇ…。」
「…これくらい、耐えてもらわなくては困る。」
眉を下げて笑う顔はカリムの入れる紅茶より甘くて、あいつの雨より生温い。
「……が…好きだ。」
「ふふっ、…やっと言ってくれた!!」
日照りでも起きてしまいそうな笑顔で彼女は言った。
「世界で1番優しい貴方が大好きですよ。」
その言葉に心臓が1度、__ドクンと鳴った。
「……………阿呆な女は…嫌いだ。」
「ふふっ、じゃあ私は嫌われちゃいますね。」
また目頭が沸騰する様に熱くなったので、俺はそう言ってから暖かい彼女の香りを腕の中に閉じ込めた。
__厄介な宿命がまた1つ、俺の身体にまとわりついた。