第5章 タルトタタン【トレイ・クローバー】
「くくっ…。」
「え。なに笑ってるんですか?」
「いや、何故こんなにヒントを与えてるのに
分からないのかなぁと思ってな。」
「ひ、ヒント!?ヒント…いつ……。」
「まあ、ゆっくり考えれば良いさ。」
答えなんて俺はとっくに知っている。
当たり前だ、自分の事なんだから。
「……が好きだ。」
「………え?」
「さっきも言っただろう、がすきだ。」
「あ、そ、そう言えば……そうでした。」
「コレが俺の1番強い想いだよ。」
__この時の真っ赤な林檎の様な顔は、
どんな色鮮やかなタルトよりも綺麗で、
どんな貴重な紅茶よりも美味しそうだった。